夜勤による影響と対策

Nursing

こんにちは、sawaharuです。

夜勤ってつらいし、健康に悪そうという印象がありますよね。

私は現在、週に1回(2交代16時間)夜勤をしていますが、週に1回だからまだなんとかなっているといった印象です。
前に勤務していたところは3交代制でかなり辛かったのを思い出します。

そこで、今回は夜勤による影響や対策について私の経験と論文や資料を参考にしながら、説明していきたいと思います。

この記事を読んでいただければ、夜勤が少しは楽になるかもしれません。
看護に関連する話が中心ですが、それ以外の職種で夜勤をしている方にも是非読んでいただきたいです。

夜勤による影響

・がんになる可能性が高まる?
・事故のリスク
・その他のリスク
・看護師のストレスと業務負担

がんになる可能性が高まる?

発がんの可能性については、

乳がんや前立腺がんのリスクやメタボリックシンドローム、睡眠障害のリスクの可能性が示唆されています1)

2007年にはデンマークで、週一回20年以上の夜勤をしてがんになった夜勤・交替勤務者を労働災害認定したというニュースもあったそうです。日本ではあまり話題になりませんでしたが2)

一方で、2019年の研究では、夜勤と女性の乳がんの発がん性について明らかな根拠はないとする発表されています3)

以上から、なかなか夜勤と発がん性に関する断定は難しいようですね。

事故のリスク

また、眠気と事故のリスクについても問題になっています1)
1)の文献では、医療関連の事故のことに触れていますが、

私は、通勤に関わる事故ついてもかなり影響を及ぼしていそうだなと感じました。

夜勤終わりに眠気が強い状態で車を運転して帰宅する人は多いと思いますが、交通事故などのリスクには十分ご注意ください。

実際に夜勤明けで交通事故などが起こっている事例もあり、自分だけでなく相手の人生にも関わる問題ですので、“なるべく仮眠を取ってから帰る”“公共交通機関の利用を優先する”などの工夫が必要そうです。

その他のリスク

交替制勤務者は常日勤者と比較して、冠動脈疾患のリスクが高いことや交替制勤務を長く続けていることも冠動脈疾患のリスクになることを示した研究もあります4)

冠動脈疾患とは、心臓に血液を送る血管が詰まってしまって、狭心症や心筋梗塞など心臓の一部または大部分が動かなくなることを言います。
生死に関わる重大な疾患ですので、夜勤をしている人に与えるインパクトは大きいですね。

看護師のストレスや業務負担

看護師が勤務する施設では、2交代制か3交代制を取っている組織が多いかと思います。
2交替制のメリットとして、ある論文では例えば以下が挙がっていました5)

・起きている状態から患者をみることができ、術後や重症患者の観察・アセスメントが行いやすい。
・点滴のミキシングや準備に余裕ができる
・準夜帯の時間帯に深夜に起こることの対処ができた

私も3交替制と2交替制の両方を経験したことがありますが、納得がいく意見だと思います。
準夜帯から関わることで患者さんの人となりや好みなどを把握しておけますし、医師に事前に夜間の対応について相談もできます。点滴も深夜帯の分まで見通しながら準備ができますし、申し送りも少なくなりますので業務の効率化が図れると感じます。

休憩時間に関しては、ある研究では12時間夜勤と比較して16時間夜勤の方が平均休憩時間は長めに確保できる傾向にあるようです6)

臨床では、患者さんの急変や緊急入院など予期せぬ対応が求められた際に十分な休憩時間を確保できない可能性もあり、その際はかなりの負荷が看護師にかかることになりますので、基本的に忙しい傾向がある病棟では注意が必要ですね。

業務負担については、他にも72時間ルールというものがあるようです。
1カ月1名あたりの平均夜勤時間を72時間以内にするというルールです7)

16時間夜勤ですと、4.5回分ですので、単純に考えて、週一回程度の夜勤が一つの目安になりそうですね。

この72時間ルールには科学的な根拠はないとされますが、単に数値化できていない可能性もありますし、症状がでているという資料も示されています7)

私はちょうど今、週一回の夜勤をしているので基準内という感じですが、看護師として働いていく上で、一つ基準として考えておきたいと感じました。自分の体は自分で守るという意識も大切にしたいですね。

夜勤における対策

・睡眠時間と熟眠感
・夜勤中の休憩のとり方
・夜勤当日の起床時間
・夜勤を少しでも楽にする具体的方法

睡眠時間と熟眠感

睡眠満足度が高い人ほど夜勤中の疲労感が低い傾向にあるようです。
そして、睡眠満足度に影響しているのは、9時間以上の睡眠就寝前の入浴・足浴の実施だそうです8)

これは今すぐにでも取り入れられることですね。

夜勤中の休憩のとり方

夜勤中の休憩について、休憩が0時以前に終わる人は疲労感が高くなる傾向にあるようです8)

早くに休憩が終わってしまったあとのあの絶望感はそのまま疲労感と直結しているんですね。

夜勤当日の起床時間

夜勤当日も普段と同じ起床時刻の方が夜勤後の疲労感が軽減されるとの結果もあるようです8)

これは意外ですね。ぎりぎりまで寝ていた方が楽になる印象がありました。

夜勤を少しでも楽にする方法

最後にBMJという雑誌に掲載された論文で、具体的な夜勤の対策が紹介されていましたので、図の内容を日本語にしたものを以下に紹介したいと思います9)

【夜勤当日の日中の過ごし方】
・自然に目覚めるまで眠る(アラームを使用しない)
・モーニングコーヒーを摂取しない
・午後2時~6時の間に、90分間の仮眠を1回とる

【夜勤中の過ごし方】
・アクティブに活動する
・夜勤シフトの早い段階で10~20分の仮眠をとる
・仮眠をとる前にカフェインを服用するが、それを夜勤中の最後のカフェインにする
・目を覚ます薬はおそらく効果的だが、副作用を伴う
・食事は軽めに、快適に過ごす
・パフォーマンスの低下を軽減するために、重要なタスクを確認する

【夜勤終わりの数時間と帰宅に関する過ごし方】
・カフェインとニコチンの摂取を避ける
・明るい光を避ける(曇りの日でもサングラスをかける)
・自家用車ではなく、公共交通機関の利用を検討する

【夜勤明けの過ごし方(翌日が夜勤の場合)】
・可能な限り早く寝る
・寝る前の、”明るい光”、”スクリーン”、”アルコール”を避ける
・静かで暗い部屋で眠る
・寝ないよりは寝た方が良い(断眠でも短い睡眠でも)
睡眠時間を最大限確保する

【夜勤明けの過ごし方(翌日が休みの場合)】
・夜勤直後に90分もしくは180分の仮眠をとる
・仮眠後は外に出る
・通常の時間に近い時間を目標に就寝する
・夜勤明け翌日の昼寝や仮眠は避ける

出典元:9) Helen McKenna, Matt Wilkes. Optimising sleep for night shifts. BMJ. 2018 Mar 1;360:j5637. (the BMJ Visual summary の英語部分を本記事の筆者が日本語に訳したものを記載している).

目を覚ます薬剤などは日本ではあまり使用できないこともありますし、海外の研究をもとにまとめられている過ごし方ですので、一部日本では合わないものもあるかもしれませんが、夜勤をする際に参考にしたい貴重な情報かと思います。

まとめ

今回は、夜勤による影響として以下の4点について説明しました。

・がんになる可能性が高まる?
・事故のリスク
・その他のリスク
・看護師のストレスと業務負担

また、夜勤における対策として、以下の4点について説明してきました。

・睡眠時間と熟眠感
・夜勤中の休憩のとり方
・夜勤当日の起床時間
・夜勤を少しでも楽にする具体的方法

いかがだったでしょうか。

まだまだ夜勤による影響や対策については、研究が途上といった感じで、根拠が定かではない部分や今まで証明されていたことがくつがえることもあるようです。

研究で証明されたことが100%正しいということはあり得ませんが、非常に有益な情報も数多くあることがわかります。

盲信するのではなく、そのような情報があるんだと知った上で、自分でよく考えながら生活に取り入れていけるといいなと思います。

このような研究や情報は夜勤をやっている人にとっては本当に大切な情報ですよね。
どんどん研究などが進んでいけばいいなと個人的に思っています。
今後の動向にも注目ですね。

夜勤はつらいですが、色々と試行錯誤しながら一緒に乗り越えていきましょう。
あまりに辛いときは夜勤をやめるという選択肢もあります。
どうかご自身のお体を大切にしてくださいね。

 

 

<引用参考文献>
1) 白石 弓夏. 夜勤の健康被害は深刻。看護師はどう対策すればいいのか?. https://www.kango-roo.com/work/4827/ (2017/07/03)
2) 佐々木 司. 夜勤・交代勤務版ミシュラン「シフトワーク・チャレンジ」への階梯. 労働の科学 70巻5号 2015年. pp.4-9.
3) Michael E. Jones, Minouk J. Schoemaker, Emily C. McFadden, et al. Night shift work and risk of breast cancer in women: the Generations Study cohort. British Journal of Cancer volume 121, pages172–179(2019).
4) 荒川 千秋, 叶谷 由佳, 佐藤 千史. 交替制勤務と冠動脈疾患との関連. 日看管会誌 Vol 10, No 1, 2006. pp.30-36.
5) 川口 欣子, 松野 里美, 櫻田 陽子, 田中 好枝. 2交替制導入による夜勤看護師のストレスの変化. 山口大学医学部附属病院看護部研究論文集 (82), 39-42, 2007-02.
6) 折山 早苗, 宮腰 由紀子, 小林 敏生. 二交代制勤務看護師の夜勤に関連した休息・休憩のとり方と勤務支持要因—12時間夜勤と16時間夜勤の比較—. 2014 年 51 巻 1 号 p. 21-31.
7) 烏 美紀子. 夜勤「72時間ルール」って、なんで72時間なの?.https://www.kango-roo.com/work/5910/ (2018/06/05).
8) 宮崎 真帆, 細名 水生. 二交代制勤務に従事する看護師の睡眠パターンと疲労感との関連. 神戸大学大学院保健学研究科紀要 29, 1-15, 2013.
9) Helen McKenna, Matt Wilkes. Optimising sleep for night shifts. BMJ. 2018 Mar 1;360:j5637.

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